16年前―
すっと立っている姿がどこか気品すら感じさせられる真っ白なお母さん犬から生まれた6匹の仔犬。 なぜか全員茶色。 その中の1匹がまる、おまえだったね。
当時、幼稚園に通っていた息子が病弱だったので、犬は病気をしない元気なのがいいと思い、一番大きく生まれたおまえを選んだんだよ。
車の後部座席にちょこんと座って、不安そうな目をして我が家へやってきた。
「ぼくが犬のお父さんなんだよね」と言っていた息子が「名前は“まる”にしようか」と言った。
「じゃぁ、あなたがもうすぐ入る小学校で○をたくさんとるようにね」と私が言って“まる”という名前がついたんだよ。
まる…おまえはそれから本当に病気もせずに元気に大きくなってくれたね。
番犬として、いつも玄関先で人がくると大きな声で吠えていた。
娘が大病をして何ヶ月も入院した時も、家で辛抱強く待っていてくれたね。
元気にご飯を食べている まる の写真を、娘はベットの上で見て励まされたよ。
今では足腰が弱り、家の中で四六時中、私たちと一緒の生活になったね。
来年から息子も就職して遠くに行くけど、家に帰ってきた時は、おまえを抱きしめられるように、これからもうんと長生きしてください。 ね、
まるちゃん!